【気鋭のシェフの”香り”のコース】TIRPSEの田村シェフ、才能が迫ってくるゾクゾク体験!
私の友人がTIRPSEの田村シェフと一緒にエディブルフラワーの事業をやっていて、一度おいでよということでTIRPSEのランチに一緒に行ってきました。
TIRPSE(ティルプス) 食べログ★ 4.12
平日昼だけどシャンパン飲んじゃう。
一皿目。
高知県産ベルガモットの香りのフィンガーフード(白い方)と、ブラックオリーブと玉葱のチュイル。なお、チュイルとはフランス語で「瓦」とのこと。知らなかった。
香りの扉を開くための一皿とのことです。オシャレ!
この写真ではちょっとわかりづらいんだけど、このお皿、シルクハットを伏せて置いたような形です。
美しい!こちらは埼玉の無農薬ビーツ、あまりに美味しくてシェフが惚れ込んだというビーツ。甘い!生ハムのエッセンスのスープの”枯れた感じ”がフレッシュなビーツと絶妙に合う(と、シェフの受け売り)。キャビアとアマランサスと。
お次はお魚。絶品の秋刀魚!今年は不漁なのでなかなか脂が乗らず大変、とのことですがこのさんまほんとうにとろけます。あぁ、さんま。好きだよ。
焼き茄子のピューレの強めの香りと少しの苦味が、秋刀魚のあぶらの甘さとあいまって、もう秋としか言いようがないです。ソースはショウガとバニラのビネグレットだそう。なんですかもう!ざくざくのピスタチオの食感も素晴らしいです。
今年の秋のフレンチでは、秋刀魚と焼き茄子のピューレの組み合わせはこれで3つめなのですが、ここが圧倒的No.1でした。香りと食感とで、全くレベルの違うものが出来上がるんですね…
お次はシェフのスペシャリテ。白いかのリゾット!イカスミ、魚醤で味付けしたリゾット、イカスミのアート、白いかはオイルソテーでぷりぷり。蘇(そ)とイカスミのパウダーが添えられています。モダンフレンチでまさかの蘇!びっくりです。
これ、最高です。油断すると10秒でなくなっちゃいます。ああ、もう一回食べたい!これはスペシャリテなのでいつ行ってもありますね。近々必ず行きます。
平日ランチだけど白ワインも飲んじゃいます。(*ノω・*)テヘ
この白ワイン、かなり好み!2014 Frantz Saumon Montlouis-sur-Loire Le Clos du Chene とのことでした。楽天で発見!買ってしまおうか…
甘鯛の松笠焼き。サルシフィー(西洋ごぼう)を、なんと日本ごぼうのささがき出汁で炊いたそうです。日本ごぼうの風味と西洋ごぼうの食感。発想が凄すぎる。ローズマリーのエスプーマとシャインマスカットを添えて。
お肉は、小鳩のロースト。稲藁でローストしているそう。そこに麦のオイルと、玄米で作ったクラッカーを添えています。なんという日本の秋!!赤ワインソース。小鳩は全く臭みがなく、脂っぽくもなく、するっと食べてしまった。
デザートです。
ジャスミンパンナコッタ、金木犀の香り、煮た杏と、杏のジュレ、トンカ豆。鯛・小鳩と豊かな動物性の香りで口が満たされているところに、ジャスミン・金木犀・杏のさわやかな風が吹き抜けていく感じです。
→のふんわりの下に微妙にお米のようなものが見えると思うのですが、こちらがRiz Au Lait(リオレ)という、牛乳でお米を炊いたものだそうです。香りはココナツミルク、ジュニパーベリーで。石巻のササニシキの玄米で作った”あまざけぐると”のアイス。お米の優しいハーモニー!
調べてみると、こちらTIRPSEはカンテサンスの跡地にできたそうですね。カンテサンスになんで大崎にしたのか聞いてみたらキッチンがとにかく広いスペース確保できて、ラボ的な取り組みができるからとおっしゃっていたのですが、逆にこのTIRPSEのスペースを見るとここにカンテサンスがあったことが驚き...!
それにしても、今改めてですがどうでもいいことに気づいたんですけど、カンテサンスにしてもTIRPSEにしても、こういった素敵なレストランは駅から近いこととかは全く不要な要素なんですよね。「わざわざそのために出かけてまで食べたいレストラン」がミシュランの基準のひとつというのは有名な話ですけど、素敵なレストランって駅徒歩15分とかざらですもんね。(はたまた山奥とか。)どうせタクシーで行くし関係ないというのはあるとは思いますが、駅近の高い賃料やファンシーなビルのテナント料が価格に影響しているレストランで食べるのがちょっと疑問になってしまいますね。TIRPSEはオーナーの方針(やりきった)で2018年で閉店予定とのことなので、早いうちに再訪しようと思います。
ところで田村シェフ、フランスではミシュランと並ぶガイド本、Gault et Millau(ゴミョー)の日本版で、、ここからは12/4以降じゃないと書けないですが(笑)
人生でいちばんのレストランはNouriだと書いてましたが、ここTIRPSEはそれに劣らないと感じました。個人的にはカンテサンスより好き。格式高い雰囲気やソムリエのソムリエらしい知識などはカンテサンスのほうがはるかに上だけど、お料理の独創性、香りや食感の操り方、カジュアルな雰囲気ながら丁寧な一皿一皿は、誰にでも自信を持ってお薦めできると感じました。
ほんとうにおいしかった、ごちそうさまでした!!